脈診とはその名の通り脈を診る診断法。
脈で何を診るのか?
とても単純に分かりやすく言えば自律神経の状態を伺う、ということでしょう。
西洋医学でも自律神経失調症が多くの病気の原因とされていますが、ただ西洋医学では自律神経を測ることはうまくできません。
西洋医学は物理的な異常に対応する医学であり、
働きを担う自律神経は物理的異常では無いため、診断法や治療法が確立していません。
その点、東洋医学は気=神経伝達=働きのの異常の段階から診断と治療法が確立されています。
そのもっとも土台となる診断法が脈診です。
脈診ではまず血管の硬さが分かります。
血管の硬さは常に変わっています。緊張したりショックを感じると血管壁は収縮し硬い脈になります。逆にリラックスしているときには血管壁も弛緩して柔らかい脈になります。
つまり血管壁の硬さで身体や精神の緊張度合いが分かります。
また脈の速さも常に変化しています。驚いたり熱がある時、またカゼを引いた時など免疫が活性化している時には脈は速くなります。
脈が遅すぎる場合はエネルギーの不足、代謝不足などが推測できます。
脈が大きく浮いている時には身体が熱を持っていたり興奮傾向にある、脈が沈んでいる時には身体が冷えやすかったり倦怠感があるのでは無いかと推測できます。
このように脈からは身体とココロの状態が伺うことができ、またこの変化は自律神経の働きが深く関与するため「脈診で自律神経の状態を伺う」という脈診が成立するわけです。
また人の生命は「働き」があり、その働きによって様々な物理的構成要素を吸収したり造り出したりしています。つまり「働き」が先、「物理的変化」が後から起こる、
そう考えると病(外傷以外の病変)もまた「働きの異常」が先に起こり、その後「物理的異常」が発生するということになります。
つまり東洋医学の脈診は「物理的異常」が起こる前の「働きの異常」の段階でそれを診断し、それに見合った治療を施すことで病を回避することが可能となります。
また物理的異常が起こってからでも、それを起こした働きの異常を見つけ出しそこから治療するというアプローチを行うため、西洋医学という物理的治療のみでは良くなりにくい症状の改善にも役立ちます。
東洋医学を受診される時には東洋医学の土台となる「脈診」を行われる先生を探して頂くと良いでしょう。